更新日:2019年7月11日

2.甲状腺がんの発生に関連する因子

危険因子

①放射線被ばく

20歳以下の若年者においては、放射線被ばくで甲状腺がんのリスクが上がることが報告されています。しかし成人では放射線被ばくで甲状腺がんが増えることはないとされています。

②生活習慣など

体重増加や肥満によって甲状腺がんのリスクが上がるという報告がいくつかありますが、飲酒や喫煙など、そのほかには生活習慣で甲状腺がんが増えるというデータはありません。

遺伝

①RET遺伝子

親から子供に50%の確率で遺伝する遺伝子で(常染色体優性遺伝)、この遺伝子を持っている場合には、生涯のうちには確実に髄様がんを発症します。RET遺伝子は髄様がん以外に副腎腫瘍や副甲状腺機能亢進症も発症するため、家系内にこれらの疾患を持つ家族が複数いる場合には、この遺伝子を持っていることが疑われます。ただし、実際にはこの遺伝子によって発生した髄様がんは、甲状腺がん全体の約0.4%程度と極めてまれです。

②その他

大腸ポリープが多発する家系内において、ある特殊な乳頭がんが発生することが知られています。また、髄様がん以外の甲状腺がんの一部にも遺伝性があるのではないか?という説もありますが、未だ原因遺伝子は解明されていません。

3.症状や発見のきっかけ

甲状腺がんは大きくなれば、くびにしこりを触れて気づくこともありますが、一般に痛みはなく、自覚症状が出にくい病気です。このため甲状腺がんは、無症状のままで偶然発見されたという方が大半を占めています。発見のきっかけとして多いのは、かぜ症状等、何らかの理由で受診した医師の触診で指摘される、動脈硬化を評価するための頚部超音波検査(エコー検査)で甲状腺に腫瘤を指摘される、あるいは検診や人間ドックのために撮影した胸部CT検査で偶然発見されるなどの場合です。

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