膵癌とは?

杏林大学医学部付属病院肝胆膵外科 鈴木裕、阪本良弘
東京労災病院 杉山政則
更新日:2022年3月8日

更新日:2022年3月8日

1. 一般知識

膵臓とは

膵臓は上腹部の背中側、胃の裏側にあります。膵臓の背側には上腸間膜動脈や上腸間膜静脈、門脈など大きな血管が存在します。右側(十二指腸側)を頭部、左側(脾臓側)を尾部、頭部と尾部の間を体部と言い、膵頭部には胆管が貫いています。

出典:患者さんのための膵癌診療ガイドラインの解説

膵臓には外分泌と内分泌というふたつの機能があります。外分泌とは、タンパク質や炭水化物、脂肪を分解する消化液である膵液を分泌して食べ物の消化を促します。内分泌は、血糖値を下げるインスリンや血糖値を上げるグルカゴンなどのホルモンを分泌して血糖値を調節します。その他にも、さまざまなホルモンの分泌を抑制するソマトスタチンや腸からの水分吸収を調整するVIPなどが分泌されます。

膵癌とは

膵癌は膵液が流れる膵管上皮から発生する癌で、管状腺癌や乳頭腺癌、粘液癌、退形成癌などがあります。膵癌では管状腺癌が多く、膵臓にできる腫瘍の80~90%を占めます。膵癌は小さなリンパ管や血管に容易に浸潤し、リンパ節転移や遠隔転移を認めます。また、膵臓周囲の神経に沿って癌が広がります。

膵癌の頻度

膵癌は罹患率・死亡率もいずれも増加傾向であり、罹患率は8位、死亡率は4位となっています。また膵癌の罹患数と死亡数がほぼ同数であり、予後が悪い癌のひとつです。

ページトップ