会長挨拶

万代 恭嗣万代 恭嗣

(ばんだい やすつぐ)

学会会長

年頭所感

 新年明けましておめでとうございます.

 会員の皆様におかれましては,まずはお健やかに新年をお迎えのこととお慶び申し上げます.

 令和5年は新型コロナ感染症が5類へ移行となり,ウィズコロナの時代が模索されることとなりました.しかし,ウイルスの基本的性格が変わるわけではなく,感染症としての同様の対応が必要であり,夏には第9波の流行が発生しました.重症化はしないとされたものの医療提供体制はやはり逼迫し,会員の皆様におかれましては従前同様の対応をされたことと,心より敬意を表します.

 学会の重要な機能のひとつである総会開催に関しましては,11月16日からの3日間,現地参加形式のみで盛大に開催されました.多くのテーマが盛り込まれた素晴らしいプログラム内容で盛会裡に終了し,猶本良夫総会会長,榊原 敬準備委員長をはじめ関係者の皆様にこの場を借りて敬意を表明するとともに,重ねての御礼と慰労を申し上げます.

 本学会の中心的事業である,若手外科医の支援と,各都道府県支部との連携,関係強化については引き続き推進してまいります.支部関連につきましては,新たに設けられた副委員長を筆頭として,各支部での学術集会などの折に学会本部役員が現地に赴いて交流しつつ情報を交換するなどの計画が実現することとなります.もうひとつの本委員会の重要事業である「次世代の臨床外科医のための特別セミナー」については,これまで続けて中止となっていましたが,令和5年度は,専門家の流行予測を元に開催時にはピークが過ぎると想定したうえ,万全の感染対策をして開催,無事終了することができ,これについても担当委員会はじめ関係者の労を多とします.今年度は第12回として2月初旬に,これまで以上に充実した内容で開催予定であり,奮っての参加を期待します.

 学会誌のオンライン化については,編集委員会を中心として,多岐に渡る項目が幅広く検討され,最終的に冊子での発行はしないとの結論となりました.一部には,さらには私自身も紙媒体での閲覧にこだわりがありますが,会員諸氏にはご理解のうえご了承いただきたく考えます.これに伴い,これまでも折に触れて述べてきたように,会員数減少などからの収入減に対しても,安定的な学会運営が可能となり,新たな企画も立案できることとなります.

 毎年掲げていた女性会員の増加と評議員・役員への積極的登用については,私の怠慢からほとんど進んでいませんが,役員の世代交代とともに今年度の重要目標と考えております.

 医療を取り巻く環境については,令和6年度診療報酬の改定率が+0.88%に決定しました.他の業種の賃上げが続く中,経営の厳しい特に病院に働く40歳未満の勤務医師をはじめとした各職種のベースアップ2年分として合計0.61%が割り当てられました.どのような形で診療報酬に上乗せるかは現在審議中ですが,過不足のない完璧な割り当てが困難であるのは,控除対象外消費税と同様ではあります.細かな計算は省きますが,本体の改定率は最終的に+0.46%と相変わらずの厳しい率ですので,各病院管理者は,どのようにベースアップに反映させるか難しい舵取りを迫られそうです.とはいえ,若手外科医をはじめとした勤務医の待遇改善策の実施は喜ばしいことではあります.

 2024年は干支も入れると甲辰であり,この年は,東京オリンピックが開催されるなど,過去の日本にとって大きな変化の年であったようです.昨今の自然が猛威を奮い,不安定な世界情勢を考えるとき,良い意味で龍のように万物がダイナミックに成長してゆく方向に進むことを願わずにはいられません.

 会員諸賢のご助力を得て,本年度も日本臨床外科学会としての特徴を持った運営をして行きたいと考えておりますので,どうぞよろしくお願い申し上げます.

(2024年1月)

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