食道がんと診断されたら…
特任教授 村上雅彦 准教授 五藤 哲
昭和医科大学江東豊洲病院
教授 大塚耕司
以下の情報は信頼のできるもので、一般の方でもインターネット上でも閲覧可能です。参考になると思われます。
・国立がん研究センター がん情報サービス(https://ganjoho.jp/public/)
・食道癌診療ガイドライン2022年版(金原出版より発売)
最新の知見は、日々更新されています。実際には担当医・セカンドオピニオンなどで治療の現状について食道外科専門医に問い合わせして頂くことをお推めします。
1. 疫学・一般知識について
厚生労働省による日本人の死因の第一位は悪性新生物(がん)、第二位が心疾患、第三位が脳血管疾患です。悪性新生物(がん)の中で、食道がんは男性では第9位、女性では第12位の死因です。
WHOの研究機関である国際がん研究機関(IARC)による世界のがん統計(2022年、世界185カ国)では、がんに罹っている患者数は約1997万人、死亡者数は約974万人とされ、ともに増加傾向を示しています。
その中で、食道がんをみると、罹患率は2.6%(約51万人)で、全癌腫の中で11番目に高く、死亡率は4.6%(約45万人)で、肺、結腸、肝臓、乳腺、胃、膵臓に次いで7番目に高い結果でした。
一方、日本ではどうかというと、国立がん研究センターがん対策情報センターの集計では、食道がんに罹った患者数は、2021年で男性:21150人(10万人中34.7人の割合)、女性:4925人(10万人中7.6人の割合)であり、男女比4.3:1で、男女ともに増加傾向でした。また、食道がんの推計死亡者(2023年)は、男性:8647人(10万人中14.7人の割合)、女性:2103人(10万人中3.4人の割合)であり、男女比4.1:1で、男性は減少傾向、女性は増加傾向でした。年代別では、60〜70代が最も多く罹っており、死亡率は80代が最も多かったです(図1,2)。

出典:国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センター
日本食道学会の全国調査(2013年治療2019年解析症例8019例)では、がんができる部位は胸の真ん中に位置する胸部中部食道が約46.5%と最も多く、次いで胸部下部食道(約28.2%)、胸部上部食道(約12.1%)、腹部食道(約8.5%)、頸部食道(約4.8%)という比率でした(図3)。
出典:臨床・病理 食道癌取り扱い規約 第12版
組織型(病理組織検査)では、食道がんは主に扁平上皮がんと腺がんという2つのタイプがあり、本邦では、扁平上皮がんが約86%と圧倒的に多く、腺がんは約6.9%とされ、欧米では、腺がんが増加傾向にあり、約半数以上を占めています。がんは,組織型からさらに、高分化型・中分化型・低分化型・未分化型と分類され,低分化型・未分化型はより性格の悪いがん=治り難いがんといわれています。
日本に多い扁平上皮がんの原因としては、飲酒と喫煙が主な原因と言われています。特に両方の摂取により癌の発生の危険が高まるといわれています。また、飲酒により体内で生成されるアセトアルデヒドは発がん物質であり、アセトアルデヒドの分解酵素活性が生まれつき弱い人(顔が赤くなる人)は、食道がんの発生の危険が高まることが報告されています。
また、果物野菜摂取不足などによるビタミン不足もがんの発生要因とされ、緑黄色野菜や果物を摂取することで予防に効果的といわれています。
欧米に多い腺がんの原因としては、逆流性食道炎があげられ食道と胃の境からできるのが特徴で、発生要因として肥満、欧米型 の食生活、喫煙などが考えられています(図4)。今後、生活習慣の変化から日本でも腺がんが増加する事が予想されます。
出典 : 公益財団法人 がん研究会ホームベージ (https://www.jfcr.or.jp/index.html)