更新日:2019年5月27日

6. 治療方針の決定

食道がんの治療は、

1)内視鏡的切除

2)手術

3)抗がん剤治療

4)放射線治療

に大別されます。進行度に基づいてどの治療が良いか決定されます。日本食道学会より診療ガイドラインが出版されており、そのアルゴリズムに基づく治療法が推薦されています。もちろん、画一的な治療が強制されることはなく、患者さんそれぞれの耐術能(手術可能かどうか)や希望などを加味して決定されます。

<食道がんの治療方針>
食道がんの治療方針

食道癌診療ガイドライン2017年版より抜粋(日本食道学会編 金原出版株式会社 2017年)

上図のフローチャートのごとく、治療方針がStage(進行度)別に推奨されています。しかしながら、がんの範囲が広くて内視鏡治療が困難な場合では、手術や抗がん剤治療、放射線治療が勧められることもありますし、StageIVでも症状緩和目的に手術が行われることもあり、絶対的なものではありません。ご自身の病状に合わせて、自分にとって良い治療は何かを専門医とよく相談することが重要です。

7. セカンドオピニオン(他の医師の話も聞いてみたい)について

セカンドオピニオンとは、担当医から説明された病態・治療法が患者さん・ご家族にとって納得のいくものであるか、担当医とは別の医療機関の医師に「第2の意見」を求めることです。

患者さん・家族にとっては、初めての治療になるのですから、担当医から説明された診断や治療方針が本当に正しい選択かどうかわからないのが現実です。また、納得のいかないこともあるかもしれません。少しでも不安や疑問がある場合は、セカンドオピニオンを受けることで、担当医の意見を別の角度から検討することができますし、同じ診断や治療方針が示された場合でも、病気に対する理解が深まり、担当医に対する信頼感が増すことにもなります。また、別の治療法が提案された場合には治療の選択枝の幅が広がることにもなります。

セカンドオピニオンを受けるためには、現在の担当医に、セカンドオピニオンを受けたいと考えていることを伝え、紹介状や、血液検査、病理結果などの記録、CTやMRIなどの画像検査結果やフィルムを準備してもらう必要があります。現在かかっている医療機関からの資料は、セカンドオピニオンを求められる側の医師にとって、患者さんの状態を客観的に評価し、適切な助言を伝えるために非常に重要な情報です。また、患者さんや家族の方によっては、「担当医にこんな事を申し出たら失礼ではないか、もう診てくれなくなるのでは」と不安に思う方がいるかも知れませんが、セカンドオピニオン自体は常識的なことですので、この申し出で、機嫌が悪くなる、態度が変わる医師がいたとしたら、むしろその施設で治療を進めることはお勧めしません。

近年、がん医療を行っている病院では「セカンドオピニオン外来」を設置しているところが増えています。セカンドオピニオンをどこで受けるか迷う場合には、がん診療連携拠点病院の「がん相談支援センター」に問い合わせると、その地域のセカンドオピニオン外来を行っている病院や、専門領域などの情報を得ることができます。このほか、例えば「開胸・腹手術を勧められているけれども、胸・腹腔鏡手術の適応はどうだろうか?」といった、具体的な治療方法に関する疑問がある場合には、内視鏡外科学会技術認定や食道外科専門医の情報などを確認することをお勧めします。また、「手術方法として放射線治療を検討したい」という方には、がんの放射線治療を専門とする医師にセカンドオピニオンを受けるという方法もあります。

どの医療機関でセカンドオピニオンを受けるのか決まったら、その医療機関の窓口に連絡して、セカンドオピニオンを受けるために必要な手続き(受診方法、予約、費用、診察時間、必要な書類など)を確認しましょう。セカンドオピニオン外来は、基本的に公的医療保険が適用されない自費診療となり、病院によって費用が異なっています。

また、セカンドオピニオンを受けるときには、伝えたいこと、聞きたいことを整理し、自分の病気の経過と質問事項をメモしてから行くと、限られた時間を有効に使えます。できるだけひとりではなく信頼できる人に同行してもらうとよいでしょう。

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