8.切除不能大腸癌への薬物療法について
臓器転移のあるステージIV、他臓器浸潤、再発などで手術では取り切れない場合には、抗がん剤治療を行います。
しばしば用いられるものとして、3種類の抗がん剤を組み合わせたFOLFOX(フォルフォックス)療法とFOLFIRI(フォルフィリ)療法があります。どちらも同等の効果と言われています。初めに用いる抗がん剤(1次治療)はどちらかを開始し、効果が乏しくなった場合は次の抗がん剤(2次治療)に変更します。基本的には、2次治療においては1次療法において使用していない薬剤を投与します。
*5-FU(5-エフユー), l-LV(アイソボリン), L-OHP(オキサリプラチン), CPT-11(イリノテカン)
これらの抗がん剤は外来通院で使用可能ですが、2日間以上の点滴が必要ですので、中心静脈ポートの植え込みが必要です。
■ポート造設

最近では効果がほぼ同等で内服の抗がん剤と組み合わせたポートの必要ない抗がん剤(CapeOX療法やIRIS療法など)も開発されています。
■ポートを使用しない抗がん剤の例

さらに効果を高めるために、抗がん剤に加えて分子標的薬を用いることが一般的です。RAS遺伝子を調べ、変異の有無や大腸癌の部位に応じて併用する分子標的薬を選択します。
代表的な分子標的薬には以下のものがあります。
血管新生阻害薬:ベバシズマブ、ラムシルマブ、アフリベルセプト
抗EGFR抗体薬:セツキシマブ、パニツムマブ
また、近年ではミスマッチ修復機能欠損(dMMR/MSI-High)を有する切除不能進行・再発大腸癌では免疫チェックポイント阻害薬(ペンブロリズマブ、ニボルマブ+イピリムマブ)を用いたり、BRAF遺伝子変異陽性の場合には、一次治療としてエンコラフェニブ+セツキシマブ+FOLFOXを行う等、大腸癌の遺伝子異常に応じた薬物療法が広く行われています。
これまで紹介してきたいずれの薬物療法も効果が高い反面、有害事象(副作用)もありますので、高齢者や基礎疾患を持つ患者さんの場合には副作用のより少ない薬剤を選択することもあります。主治医は遺伝子検査の結果も踏まえて、どの薬物療法がみなさんにとって最適であるかを説明してくれますが、最終的にどの薬剤を選択するかは主治医とよく相談の上で患者さんご自身が決めるようになさって下さい。