更新日:2020年3月3日

3.痔の症状

通常私たちは日常生活の中で肛門を意識することはほとんどありません。
また肛門を見ることも、排便後と入浴した時以外は肛門に触れることさえありません。

何かの異常が生じたときにはじめて肛門を意識し病変に気付きます。肛門部の病気の自覚症状には以下のようなものがあります。

出血と痛み

正常な排便では出血はしません。出血量の多少にかかわらず肛門からの出血があったときは、何か必ず原因があると考え医師の診察を受けましょう。出血の量は、紙に少し付着する程度から便に付く、滴下する・噴出するように飛び散るものなど様々です。また排便時のみ出血するものとそうでないもの、痛みを伴うものと無痛のもの等があり、それぞれ出血の原因は異なります。

また、痛い病気の代表のように言われているのが痔ですが、軽い痛みであっても繰り返す場合や、重苦しく続く痛みの時は受診が必要です。特に肛門の周囲が腫れて痛みが徐々に強くなってくる場合は、肛門周囲膿瘍などが考えられますので早く専門医の診察を受けましょう。

「肛門に痛みがあって出血するのは痔である」と思う方は多いのですが、同じような症状をきたす病気には良性から悪性のものまで多数あり、長い間繰り返す症状を単に「痔だろう」と自己判断し放置するのは危険です。

脱出

肛門の中から病変部が出てくる病気としては、内痔核が最も多いのですが、肛門ポリープや直腸ポリープ、直腸脱、肛門腫瘍(良性、悪性)などの疾患もあります。

しこり

正常な肛門や肛門周囲は均一で柔軟な構造で、しこりとして硬く触れるということはありません。もし普段気付かなかったしこりや、押すと痛む時には血栓や痔瘻、腫瘍なども考えられます。このような時には専門医を受診しましょう。

膿が出る

排便と関係なく肛門周囲や下着が膿や血液で汚れる病気には、肛門周囲膿瘍や痔瘻があります。このほかにも内痔核や直腸脱、直腸粘膜脱、毛巣洞、肛門部腫瘍、肛門機能不全などがあります。

痔かな?と思ったとき

出血したとき

無理にいきんで硬い便を排便した時や、長い時間(3分以上)かけて排便した時は出血しやすいものです。また排便に関係なく下着が汚れるような出血があったときは、痔瘻や大きな内痔核や外痔核、肛門周囲の皮膚の病気などが考えられます。しかし排便時の出血は量の多い少ないにかかわらず、またすぐに止血したからといって放置せず医師の診察を受けましょう。痛みを伴わず血の塊や赤黒い出血や、便に血液が混ざったような出血の時は早急に受診が必要です。

痛みがある

肛門の痛みの程度は様々です。強い痛みの時は当然ですが軽い痛みでも排便のたびに繰り返すものや、大した痛みでなくてもずっと続く場合や徐々に強くなってくる場合、鈍痛や重苦しく便が残っている・出きらないなどの症状があれば、肛門科や消化器専門の内科・外科を受診してください。

肛門周囲にしこりや、でっぱりを触れた時

トイレや入浴時に気付くことがあります。外痔核や内痔核、肛門周囲の皺である肛門皮垂などが考えられます。痛みなどの症状が無ければ一週間くらい様子をみて、その後も気になれば受診なさってください。触れてみて硬くまた痛みや違和感がある、徐々に大きくなる、数が増える、出血するようになったなどの症状があれば、必ず診察を受けてください。

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