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一般のみなさま
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杉山 政則 会員(杏林大学 外科)撮影
2016年2月 みなみの桜

更新日:2020年7月13日

(2) 乳癌発症に関連する因子

  • 乳癌は環境要因と遺伝要因が複雑に関連して発症します。
  • 女性ホルモンは乳癌の発生や増殖に深く関係していることが知られています。例えば、(1)初潮年齢が低いと閉経前乳癌になりやすい、(2)閉経年齢が高くなったり、出産経験がないと乳癌になりやすい、(3)初産年齢が高いと閉経後乳癌になりやすいことが報告されています(Iwasaki, M et al, : Euro J Cancer Prev 16 : 116, 2007 )。環境要因も女性ホルモンと関連があるものが多いです。
  • 表2.1に環境因子をあげました。記載されている一つの因子のみでは乳癌は発症せず、いくつかの環境因子や遺伝因子が複雑に関連して発症すると考えられています。
表2.1 乳癌のリスク・予防要因
  リスク要因 予防要因
確実 肥満(閉経後)  
可能性あり 肥満(閉経前)
喫煙、受動喫煙
運動
授乳
大豆、イソフラボン
データ不十分 飲酒、糖尿病
野菜、果物、肉、魚、穀類、乳製品、緑茶
ビタミン、脂質
国立がん研究センター 予防研究グループ
がんのリスク・予防要因評価一覧(ver. 20170801)
http://epi.ncc.go.jp/

遺伝性乳癌・卵巣癌

  • 家族(集積)性乳癌とは、家系に複数の乳癌がいることです。同じ遺伝子異常や環境要因で発症し、乳癌全体の10-20%ほどの頻度と考えられます。この中で遺伝子異常が強く影響するのが、遺伝性乳癌と呼ばれ、頻度は5-10%です。
    さらにこの中でBRCA1、2※遺伝子の異常で起こる乳癌は、遺伝性乳癌・卵巣癌症候群(HBOC)と呼ばれます。頻度は5%ほどで、乳癌は60-80%、卵巣癌は20-40%発症します。前立腺癌や膵臓癌なども発症する可能性があります。
  • BRCA遺伝子の異常は、血液検査で診断できます。2020年4月からHBOCを疑う既往歴や家族歴があれば、保険適応※※で検査ができるようになりました。
  • BRCA1、2遺伝子以外にも遺伝性乳癌に関与するいくつかの遺伝子があります。
※BRCA1、2:この2つの遺伝子は細胞の修復や調節に関与する重要な遺伝子ですが、機能障害を起こすと、乳癌や卵巣癌を高頻度で発症します。
※※保険適応基準:本人が乳癌罹患者であって、以下のいずれかの項目にあてはまるかたです。
① 45歳以下で発症
② 60歳以下のトリプルネガティブ乳癌
③ 2個以上の原発乳癌
④ 第3度近親者(血縁が大おじ、大おば、いとこなどまで)内に乳癌または卵巣癌を発症したかたがいる
⑤ 男性乳癌
⑥ 卵巣癌、卵管癌、腹膜癌の既往がある
⑦ PARP阻害剤に対するコンパニオン診断の基準を満たすかた
 

関連サイト:日本遺伝性乳癌卵巣癌総合診療制度機構